書評:暗黒大陸中国の真実


米国外交官が今から70年も前に書いた中国本、という触れ込みはキャッチコピーとしては強そうだが、中身は怪本の類といって言い過ぎではない。著者は福州副領事を最後に職を辞した三十歳代(本書執筆時)の元領事官で、その職責からも骨太の中国論を展開できる力はなさそうだ。実際、柳条湖事件を皇姑屯事件と混同しているなど、”外交官”としてはお粗末な事実誤認が多い。

暗黒大陸中国の真実

暗黒大陸中国の真実

真実の中国の姿という点、それも庶民の生活レベルで著者が見聞きした世間話に限定すれば、本書の価値も少しはあるかもしれない。腐臭が漂ってきそうな描写は、内乱で疲弊した当時の中国大陸の姿を良く表している。しかし世間話に限定したとしても、筆者の強い嫌中の偏見からくる中国固有の風俗・文化に対しての無知と侮蔑は、お節介とも言える親日的言辞とともに読んでいて気分のいいものではない。ウイリス・A・カートなるものの序文も本書の品を落としている。内容的には話半分といったところか。

著者は日米戦の際に投獄された経験があり、これを巷では親日的言辞の結果としているが非常に疑問だ。親日的言辞だけで逮捕・有罪判決・投獄されることは米国ではあり得ない。この点で本書がなんら触れていないのも、著者と本書に対する不信感を増幅させる結果となっている。

初出:http://shanxi.nekoyamada.com/archives/000122.html

One thought on “書評:暗黒大陸中国の真実

  1. なんかい

    「嫌中の偏見からくる中国固有の風俗・文化に対しての無知と侮蔑は、お節介とも言える親日的言辞とともに読んでいて気分のいいものではない」とあるが、現在中国の虚偽と捏造による反日的言辞に比べれば、この程度の認識不足は取るに足らないものだと思います。

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