書評:731


「直筆ノートの発見」という宣伝文句はインパクトがあるが、それに内容が噛み合っていない印象を受けた。確かに本書が提示する米軍側の二重構造や石井四郎の小市民的素顔は新鮮味があるが、それ以上のものではない。内容全体がこれまでの先行研究の傍証に過ぎない反面、研究書としても読み物としても中途半端だ。思い切って人物伝として構成した方が良かったのではないか。本書は731部隊に詳しい人には要チェックだが、731部隊を知りたい人にはお勧めしない。

731

731

731部隊の研究者は総じて旧軍に疎いが、本書でも「南京にある山東省の第一軍」(全部間違い)といった記述を見ると、本筋とはあまり関係ないとはいえ残念だ。そのような著者だと、隠語や暗号で記載された直筆ノートは荷が重く、何か重大なポイントを拾い落としているのではないか、せっかくの直筆ノートが生かされていないのではないか、と不信感を抱いてしまう。個人的には専門家による次の”直筆ノート解読”に期待したい。

初出:http://shanxi.nekoyamada.com/archives/000191.html

Related Posts

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

post date*