[ 書評 ]

書評:731

「直筆ノートの発見」という宣伝文句はインパクトがあるが、それに内容が噛み合っていない印象を受けた。確かに本書が提示する米軍側の二重構造や石井四郎の小市民的素顔は新鮮味があるが、それ以上のものではない。内容全体がこれまでの先行研究の傍証に過ぎない反面、研究書としても読み物としても中途半端だ。思い切って人物伝として構成した方が良かったのではないか。本書は731部隊に詳しい人には要チェックだが、731部隊を知りたい人にはお勧めしない。


731部隊の研究者は総じて旧軍に疎いが、本書でも「南京にある山東省の第一軍」(全部間違い)といった記述を見ると、本筋とはあまり関係ないとはいえ残念だ。そのような著者だと、隠語や暗号で記載された直筆ノートは荷が重く、何か重大なポイントを拾い落としているのではないか、せっかくの直筆ノートが生かされていないのではないか、と不信感を抱いてしまう。個人的には専門家による次の"直筆ノート解読"に期待したい。


素焼製の細菌爆弾をかたどった粘製の模型。十五年ほど前に友人がハルビン平房の旧七三一部隊跡地に行った際に購入した。土産品として売られていたという。今はすでに販売...
ハルビン市平房に残る旧関東軍防疫給水部(七三一部隊)の本庁舎。終戦から半世紀を経た1995年の時点でも、中学校の校舎として利用されていた。自国民への犯罪行為が...
日本軍の生物戦研究のキーパーソンである石井四郎将軍は、七三一部隊を離任した際、短い間だが山西省の第一軍に勤務している。山西での勤務は、彼が陸軍内に組織を立ち上げて以来、生物戦研究から距離を置いた唯一の公職だった。
# yama : 2006年4月 2日
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